エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
「別に、ちょっと知り合いに会ったんで話をしていただけですけど?」
「そうですか。でも、僕にはあなたが彼女にしつこく迫っているように見えましたが。……実際、あなたを見る彼女はとても怯えた表情をしていたので、心配になりまして」
近衛先生の指摘を受けた遠野くんが、「チッ」と小さく舌を打つ。
思わずビクリと肩が揺れた。
そんな私を見た近衛先生は、真っすぐに私のそばまで歩いてくると、そのまま強い力で私の肩を引き寄せた。
「──もう、大丈夫だ。俺がそばにいる」
「あ……」
迷いのない声で告げられて、恐怖で冷え切っていた指先に熱が戻っていくのを感じた。
──ああ、きっと、本当にもう大丈夫だ。
自然とそう思えたのは、私を見る近衛先生がとても頼りになる相手で、高潔な存在に思えたから。
卑怯な人間に対して怯える必要はないと、言葉はなくとも言われたような気がしたんだ。
「失礼ですが、今日は当院にどういったご用事があっていらっしゃったのでしょうか」
「は? 親戚の見舞いだよ。つーか、あんた誰だよ」
「そうでしたか。私は当院で脳外科医をしております、近衛と申します」
「……脳外科医?」
「はい。もしお見舞いでいらしたのなら、お部屋までご案内しますが、どうされますか?」
一聴すると近衛先生らしい、冷静な対応に思えた。
けれど、その声には確かな怒りが滲んでいた。
それを感じ取ったのか、遠野くんがゴクリと息をのんだのがわかった。