エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
 

「べ、別に、案内してくれてもいいけど。案内先を聞いたら、あんた、俺に偉そうな態度をとったこと後悔するかもよ?」

「どういうことでしょうか?」

「ハッ! だーかーらー。俺がこれから見舞いに行く相手って、この病院で一番VIPな特別室に入院してるからさぁ。脳外科医だかなんだか知らないけど、VIPの親族の俺の機嫌を、あんまり損ねないほうがいいと思うってことだよ!」


 そこまで言うと遠野くんは腕を組み、勝ち誇った笑みを浮かべた。

 対する近衛先生は一瞬だけ目を細めて、フッと小さく笑みをこぼす。


「……ああ、なるほど。特別室にご入院中ということは、あなたは田所さんのご親族の方でしたか」

「そうだよ! 俺の伯父さんは、その田所さん! だから俺に偉そうな態度とったこと、今すぐ謝ったほうがいいんじゃね?」


 ふんぞり返る遠野くんを前に、私は一瞬自分の耳を疑った。

 そして、私の肩を抱く近衛先生を見上げた。

 私の視線に気がついた近衛先生は、フッと表情を緩めて、さらに私の肩を強く引き寄せた。


「俺が伯父さんに言えば、あんたなんてクビになっちゃうかもよ?」

「ええ、そうかもしれません。ただ……もし、あなたが本当に田所さんのご親族でいらっしゃるなら、こちらの女性にも、直々にお礼を申し上げたほうがよろしいかと思います」

「は……? なんで俺が、野原先輩にお礼なんかしなくちゃならねぇんだよ!」

「そうですか、ご親族なのに〝例の一件〟を存じ上げておられないのですね。実は先日、田所さんが主治医の許可なく病院を抜け出してしまうという事案が起きまして。その際に、田所さんを保護してくださったのが、こちらの女性──野原百合さんなんですよ」

「え……?」


 近衛先生の言葉を聞いた遠野くんは、驚いたように目を見開いた。

 同時に、私もゴクリと喉を鳴らした。

 やっぱり……田所さんって、あの田所さんのことなの?

 たった今、近衛先生の口から田所さんの名前が出たときに『まさか』とは思ったけれど……。

 先日病院を脱走したあの田所さんが、遠野くんの伯父さん?

 
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