エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
 

「田所さんと話をしたのは、百合に会いに野原食堂に行ったあとだ」

「どうして、近衛先生が田所さんに会いに行ったんですか?」

「百合と話をしたら、なんとなく田所さんのことが気になったというのが一番の理由かな。……さらに言えば、百合に次に会ったときに、田所さんの様子を伝えられたら、百合が喜ぶんじゃないかと思って」


 もちろん守秘義務があるので、世間話のごく一部と、田所さんが治療を頑張っているということを私に話してくれるつもりだったらしい。


「田所さんも、百合がその後も元気にやっているか気にしていたよ。ついでに、俺のこともなんだかんだと気に入ってもらえたようで、会社の話や親族の話、他にも込み入った話をあれこれとされたんだ」


 田所さんも入院中に、自分の話を聞いてくれる相手が現れて嬉しかったのだろう。

 もちろん近衛先生からすれば相手は患者さんなので一線は引いていたはずだけど、大きな会社を経営している田所さんと話が合う近衛先生も、すごいと思う。


「それで、あいつの話を聞いたときに〝ピンときた〟ってわけ」

「そうだったんですね……。でも、本当に驚きました。まさか、田所さんが前職場の親会社の社長さんで、遠野くんの伯父さんだったなんて……」


 おかげで九死に一生を得た……なんて言い方は大袈裟かもしれないけど、本当に助かった。

 去り際の遠野くんの様子を見る限り、田所さん効果で、これから私や野原食堂に何かしてくるということはなさそうだ。

 
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