クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
 実の息子さんとその奥さんの日もあれば、お孫さんや、ひ孫さんの日もある。

 宝生さんは三歳半になる、ひ孫さんの顔を見るのをとくに楽しみにしているそうだ。

「今日は孫と、ひ孫が来てくれるの」

「それは楽しみですね」

 ふふっと笑う宝生さんの笑顔を眺める。朝ご飯をあまり召し上がられていなかったから、少し心配していたのだけれど。この様子なら大丈夫かな。

「ぜひ白峰さんにも会ってもらいたいわ。私が一番お世話になっているスタッフさんだもの」

「えええっ。とんでもないです」

 恐縮して顔の前で手をブンブンと振り、その後、気恥ずかしさを隠せないまま頭を下げる。

「でも嬉しいです。ありがとうございます。ちなみにお孫さんとひ孫さんには、以前ご挨拶しましたよ?」

「いつも来ているのは孫のお嫁さんなの。今日は結愛(ゆあ)ちゃんの父親が来るのよ」

 結愛ちゃんというのが、(くだん)のひ孫さんである。

「そうなんですね。では後ほどご挨拶させてください」

「ええ。よろしくね」

 宝生さんの実のお孫さんか。どんな方なのだろう。喋りやすい人だったらいいな……。
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