クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい

　女性や子供、お年寄りの前では人見知りせずすぐに打ち解けられるのだが、相手が男性となった途端緊張して上手く話せなくなる。

　それもあって男性経験がほとんどないんだよね。結愛ちゃんの父親だから三十代くらいかな。

　少しだけ不安を抱えつつ、その後も通常通り業務にあたった。

　宝生さんのご家族がお越しになったのは十四時を迎える頃だった。同僚が休憩室に顔を覗かせて、宝生さんが呼んでいると、わざわざ知らせに来てくれた。

　お昼の食事介助を終えて三十分前に休憩に入った私は、コンビニエンスストアのお弁当をすでに完食済み。

　休憩を終えたら、すぐにレクリエーションの手伝いをする予定になっている。事務所で事情を話して、休憩時間内にご挨拶をさせてもらおうかな。

　まだ直していなかった化粧を簡単に整えて、すぐに席を立った。

　チーフからは休憩時間内なので好きにしていいと言ってもらえたので、宝生さんの自室に出向く。扉をノックすると、「はーい！」と元気な女の子の声が扉越しに響いた。