クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
 可愛らしい高い声に頬を緩ませながら、扉を開けて中に足を踏み入れる。

「失礼します。白峰です」

「白峰さん、孫の遥人よ」

 宝生さんに紹介された男性は私を目に留めて、椅子からすっと立ち上がった。

「宝生遥人です。祖母がお世話になっているようで、ありがとうございます」

「白峰小春です。ご丁寧にありがとうございます。こちらこそ、宝生さんの優しいお人柄に、毎日癒していただいています」

 ドキドキと心臓を高鳴らせながらも、問題なくご挨拶ができた。

 下げていた頭を上げて、改めて男性を見上げる。そう、見上げたのだ。

 これは一八〇センチをゆうに超す。

 ネイビーのスーツ越しでも分かる、均等の取れた体つきはモデルのようにすらっとしている。

 滅多にお目にかかれない美貌を前にして唖然としていると、宝生さんがクスクスと声を転がした。

「イケメンでしょう?」

 そこで我に返り、瞬きを何度も繰り返す。

「モデルさんか、なにかでいらっしゃいますか……?」

 私の発言に男性は目を点にした。
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