クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
「残念ながら、遥人はモデルではないの。でもカッコいいでしょ。私の夫がアメリカ人だったから、遥人はクォーターなのよ」

「ああっ。だから瞳の色が綺麗な茶色なんですかね? 肌も白いですし、鼻も高いですね」

 宝生さんの旦那さんがアメリカ人というのは初耳だ。目の前の男性は日本人にしか見えないけれど、整った顔立ちはクォーターと説明を受ければなるほど、と納得する。

「いや、目の色は祖母譲りかな。祖父は青色だったし」

 男性が困ったように笑ったのを目にしてハッとする。

 私ったら、他人様の外見についてベラベラと……。

「すみません。とてもカッコよかったので、思わず本音が漏れちゃいました」

 口元を両手で覆って頭を下げる。男性はおかしそうに笑った。

「褒められて悪い気になる人間はいませんので、気にしないでください」

「こはるちゃん、はるくんとおなじ〝はる〟だね」

 物珍しそうに私たちのやり取りを静観していた結愛ちゃんが、いいことを思いついたように声を大きくした。

 もしかして同じ漢字かとうかがえば、あたり前だがそこは違っていた。
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