クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
 子供の結愛ちゃんに説明するためなのは分かっている。でも頭で理解していても、可愛いと言われて嬉しい恥ずかしさが込み上げた。

「……結愛ちゃんありがとう」

 結愛ちゃんのお母さんも、女優さんかと思うくらい綺麗な人だった。私よりずっと上の方に顔があったから、一七〇センチはあるかもしれない。美男美女の夫婦だ。

 結愛ちゃんも目鼻立ちがハッキリしていて、わずか三歳半ですでに顔が完成していると言ってもいい。

「そうそう、白峰さん。遥人が見学をしたいらしいのだけど、お願いできるかしら?」

 これまで傍観していた宝生さんが、生暖かい眼差しを私に向ける。居たたまれない気持ちだけれど、立ち上がって姿勢を正した。

「見学ですか」

「ここに来たのは初めてなので、祖母がどのような環境で生活しているのか知っておきたいんです」

 遥人さんの話を聞いて、やっぱり家族思いの人たちだなと自然と頬が緩む。

「分かりました。今からでも大丈夫ですか?」

 私は結愛ちゃんにチラッと目配せをする。

「結愛は祖母に見てもらいます。いいよな、結愛?」

「ゆあ、おばあちゃんとおやつたべるのー!」

 ご機嫌で返事をした結愛ちゃんに大人三人は笑顔をこぼし、すぐに私と遥人さんは部屋を後にした。
< 17 / 165 >

この作品をシェア

pagetop