クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
 同僚とすれ違った際に、事の経緯を簡単に説明してチーフへ言伝を頼む。

 レクリエーションには間に合わなくなるけれど、入居者家族への対応はきちんとしなければいけないので問題はないだろう。

 ふたり肩を並べながらゆっくりと歩く。すれ違いざまに入居者さんたちに声をかけられるので、その度に足止めを食う。

「白峰さん。夜の入浴、白峰さんがやってくれない?」

「分かりました。そのように手配しますね」

「あっ、白峰さん。さっき娘に写真を送ったら、すごく喜んでくれたわよ」

「じゃあ次は、娘さんがお越しになる際に着ないとですね」

「そうね!」

 隣に遥人さんがいるのもかかわらず、皆さんお構いなしに私へ声をかける。でも一様に、この人誰?という眼差しを送っていたので、一応気にはしているらしい。

「すみません。皆さんお話するのが大好きで」

「皆から好かれているんだね」

 ふたりきりになった途端、遥人さんの口調が結愛ちゃんに接している時と同じものに変化した。

 宝生さんの柔和な雰囲気と、結愛ちゃんの可愛らしさにこれまで緊張感を抱かずにいられたけれど。

 急に遥人さんの存在を意識して鼓動が速くなる。やっぱり男性とふたりきりは落ち着かない。
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