クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
『だからってのんびりしていたら、他の男に取られるぞ』

「すでに人のものだ」

 初めて会った時はまだ白峰さんを意識していなかった。だから入居者の男性に、俺が恋人と間違えられて驚いただけだったのだが。

 あの時もう少し突っ込んでいたら敵情視察になったのにと、少し悔やんでいる。

『彼氏がいるって意味か?』

「そうだ」

『ふーん。奪うつもりなんだ?』

「好きになったら、そうするしかないだろう」

『この世には、相手の幸せを願って、見守る愛というのも存在するらしいぞ』

 笑いを堪えながら言われてもまったく心に響かない。

「陸がそれを言うのか」

 外堀を埋めてから、戦略的に伶香と結婚したくせに。

『だよな』

 陸はついに我慢できなくなり、ケラケラと楽しげに笑う。これ以上話を続けていてもからかわれるだけだ。

「そろそろ寝たらどうだ。そっちは深夜だろう」

『まだしばらく日本に戻れなさそうだから、伶香と結愛を頼むぞ』

「ああ」

 俺の短い返事に満足した陸は、さっさと通話を終わらせた。

 すぐに書類に目を通そうとしたが、陸が余計な話をするものだから集中力が戻ってこない。仕方なく秘書にブラックコーヒーを入れてほしいと頼む。
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