クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
「もう時間じゃないの?」

 祖母の部屋にあるデジタル置時計を見つめる。時刻を確認した途端に心が落ち着きをなくした。

 まいったな。柄にもなく緊張している。

「じゃあ行くよ」

「気をつけてね」

 孫の恋路が楽しみだと言わんばかりの表情で見送られた俺の顔は、きっと困り果てていたに違いない。

 白峰さんとの待ち合わせ場所はスタッフ用の駐車場。車内を冷やしておこうと冷房の風力を最大にする。まもなくして前方に小さなシルエットが現れた。

 本当に小さいな。

 横に並ぶと彼女の顔はかなり下にあり、俺を見上げてくれなければ表情が確認できないほど。

 でも今日は車だから白峰さんの顔がよく見えるはず。

 白峰さんは俺の車を目に留めて小走りになった。急がなくていいのに。
< 58 / 165 >

この作品をシェア

pagetop