クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
「早速だけど、次の休みは空いている?」

「金曜日ですよね?」

 白峰さんは考え込むようにして伏し目になった。それから蚊の鳴くような声で「はい」と呟く。

 よかった。恋人と会う可能性が高いと思っていたから。

 ロイヤルライフ星が丘に電話をした時に、白峰さんの休みは把握済み。だからすぐに、俺も時間が空けられるように秘書に相談したのだ。

 冠婚葬祭以外で個人的な用事で休暇を取ったことがないので、秘書はとても驚いていたが、すぐにスケジュール調整をしてくれた。

「宝生さんはお仕事があるんじゃないですか? 伶香さんも、大丈夫でしょうか?」

「その、宝生さんってやめてほしいな。この前みたいに遥人って呼んでよ」

 話の途中だったけれど、我慢ならなかった。

 白峰さんは困ったように眉を下げる。

「……分かりました」

 どうして急に名字で呼んで、俺と線を引こうとしたのだろう。もしかして警戒されている?

 これはなかなか手強いかもしれない。だからって、まだなにもしていないのに諦めるわけにはいかない。
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