クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
「俺が食べさせてもいい?」

「え?」

 なにを言っているのかと考えるより先に、遥人さんは私の箸を持ってお寿司を掴んだ。

「はい」

 目の前で起きている光景に目をぱちくりさせる。

「あの、私、自分で食べられます」

「いいから。早くしないと落ちるよ」

 グイッと口元に近づいてきたサーモンに反射的に口が開く。

 かぶりつき、口元を両手で隠しながら隣を見た。遥人さんがにっこり笑っている。

「はるくん。ゆあもあーんして」

 結愛ちゃんの甘えた声に、遥人さんは右側に身体を向ける。

「なに食べる? これでいい?」

 それから私にしたように、結愛ちゃんの小さな口にエビを運んだ。

 胸を突き破りそうなくらい高鳴っていた心臓が、徐々に落ち着きを取り戻していく。

 いつも結愛ちゃんにやっているからだよね。遥人さんからしたら、私も子供のようなものなのだ。そう言い聞かせる。

 それにしてもびっくりした。同性の友達と分け合いっこする時はあるけれど、異性に食べさせてもらったのは大人になってから初めて。
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