クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
「白峰さん」

 まだなにかあるのかと不思議に思いながら振り向く。

「はい?」

「大丈夫? さっきの、知り合いじゃなくて彼氏だろう」

 遥人さんの推察力に目を見張る。

「向こうは女性と一緒だったし、咄嗟に嘘をついたけど。俺のせいで拗らせてしまったかな」

 私は慌てて首を振る。

「いいんです。彼とはもう終わっていますから。こちらこそ嘘をつかせてすみませんでした」

 遥人さんはあの時、結愛ちゃんを〝姪〟と言った。

 結愛ちゃんはまだ姪という言葉の意味を理解していないだろう。けれど実の娘を前にして、嘘を吐くなんて心が痛まないわけがない。

「俺はいいよ。それより白峰さんが心配」

 遥人さんの優しさが胸に沁みる。

「ありがとうございます。私は大丈夫です」

 鼻の奥がツンとして痛くなった。

「そんな泣きそうな顔で言われても。説得力がないよ」

「すみません」

 あはは、と乾いた笑い声をこぼす。

 いったいどこまで遥人さんに迷惑をかければ気が済むのか。いい大人なのだから、恥ずかしいと思わなければいけない。

「こんな状態の白峰さんを、家に帰したくないな」

 えっ……。
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