褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

「失礼します……」



先輩の眩しい笑顔に負け、おぼんを移動させてちょこんと隣に座った。


心臓がバクバクしてきた……。

男の人の隣でご飯食べるの、小学校の給食以来だし……。



「い、いただきます」



自分の家なのに、緊張してご飯がのどを通らない。


視線を感じて前を見ると、眉間にシワを寄せた兄と目が合った。

うぅ……その顔は絶対怒ってる……。



「……実玖、なんでそんなに猫背になってんだ。背筋を伸ばせ。消化に悪いぞ」

「……はい」



先輩の隣に座ったことに怒っているわけじゃないとわかり、胸を撫で下ろした。

背筋を伸ばしてスープを一口飲む。



「へぇ、座ってても実玖のほうがちょっと高いんだな」

「っ……!」



ちょっとお兄ちゃん! それは言っちゃダメ!

私は慣れてるけど、先輩は気にしてるかもしれないのに……!



「景斗、身長はいじりはやめろ! 俺は慣れてるけど、実玖ちゃんは気にしてるかもしれないだろ?」



先輩と思考が一致し、思わず目を丸くした。
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