褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

「俺らの親、どっちも背が高くて痩せてるんだ。吐く寸前まで食べたり、1日5食にしたり。ありとあらゆる手を試してきたんだけど……見ての通り、縦に伸びて、横には伸びなかった」



ハハハッと切ない顔で笑う兄。


お兄ちゃんも、昔は自分の体型が嫌だと口にしていたのだけれど、中学生の時に吹っ切れたらしい。

でも、今も細いと言われるのはあまりいい気分はしないんだって。



「あと、夜中にお菓子とかカップ麺も食ったんだよな。でも、増えたのは体重じゃなくて、ニキビだったんだよ……」



今度は目頭を押さえて泣き真似をし始めた。


懐かしい。親に隠れてこっそり部屋で食べてたな。

結局バレちゃって、しばらくお菓子禁止になったっけ。



「コンプレックスがあったのは知ってたけど、無理矢理食べるくらい悩んでたのか……」

「そうなんだよ! なのに女子達ときたら……。人それぞれ理想はあるのはわかる。俺だってもう少し筋肉欲しいし。でも、わざわざ俺に言わなくても良くない⁉ 反応に困るんだよ! 清水くんみたいに細くなりたいって言われてもさ! 今まで何回体質なんだって答えてきたことか……」



愚痴をこぼし始めた兄。

これは相当鬱憤が溜まっていたみたいだ。
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