褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません
西尾先輩は褒めてくれたけど、外国人は日本人とは違う価値観や感性を持っているだろうから、
「何この服、変なの~」とか、「デザイン考えたの誰だよ」なんて思う人もいるかもしれない。
「なんか怖くなってきた……」
「え、いきなりどうしたの」
「もしSNSで『このデザインダサいね』って言われたらどうしようって……」
「は? 何の話してるの? そもそも、実玖は発信したことないでしょ。気にしなくていーの」
隣を歩く彼女に「ネガティブすぎ!」と怒られてしまった。
まぁ、SNSは見る専門だから取り越し苦労だけどさ。
「もしも実玖にそんな酷いこと言う奴がいたら、私と景斗さんがぶっ飛ばしてやるから! ね! 景斗さん! って、あれ?」
隣を見ると、一緒に登校してきたはずの兄がいない。
さっきからやけに静かだなって思ったら……どこ行ったんだろ?
もしかして、ずっと可南子と話してたから、邪魔にならないように先に行ったのかな?
「……実玖! 後ろ!」
可南子に肩を叩かれ振り向いた先には、自転車を押して歩く雪塚先輩と満面の笑みを浮かべる兄の姿があった。