Livre magic〜温もりと冷たさ〜
「そんな……」

絶望で目の前が黒く染まっていく。オズワルドさんのことを仲間だと信じて疑わなかったのに……。

「お前とメルキュールのことは魔法で真実を見てわかっている。異世界から来たんだろう?邪魔なんだよ、別の世界から来た人間なんて」

ドクン、と僕の心臓が嫌な音を立てる。エリカたちが僕を驚いた目で見つめていた。このことは黙っていくはずだったのに……。愛されないあの人生なんて、捨てたつもりだったのに……。

「物の怪にこの世界から排除してもらうつもりだったんだが、まさかお前らの方が強かったとはなぁ……」

ククッとオズワルドさんは笑う。僕の体がスウッと冷えていくのがわかった。この人は、もうあの時のオズワルドさんじゃない。否、最初からオズワルドさんは正義感のあふれる警察ではなかったんだ。

絶望に浸る中、僕の胸ぐらが掴まれる。オズワルドさんが僕を嘲笑うように見つめ、僕の胸ぐらを掴んでいた。
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