Livre magic〜温もりと冷たさ〜
三 信じられない
「何で、オズワルドさんが……」

僕、ノワールが驚く中、オズワルドさんは冷たい目のまま笑う。僕はとても驚いているけど、リオンたちはどこか警戒したような目をしていた。

「オズワルドさん、あなたが僕たちをこの本の中に閉じ込めたんですよね?」

メルキュールがそうオズワルドさんを睨むような目で見ながら訊ねると、オズワルドさんは「アハハ」と狂ったように笑う。えっ?どういうこと?

「嘘ですよね?だってオズワルドさんは、閉じ込められた人を助けている刑事さんで……」

いつだって、オズワルドさんは事件と真剣に向き合ってきた。そもそも、僕とリオンに捜査協力を依頼したのもオズワルドさんだ。オズワルドさんが犯人だなんてーーー。

「ノワール、お前はどこまでも馬鹿なんだな」

オズワルドさんは僕を笑いながら見つめる。そして、「俺が事件を起こしていたんだ」と言った。

「俺は人の絶望する顔、狂っていく顔が大好きでな。力を無理やり手に入れて、物の怪を生み出して、人を小説の中に閉じ込めてきたんだ」
< 12 / 16 >

この作品をシェア

pagetop