お日さまみたいな温かい君に包まれて
「せっかく買ってきてあげたのに。もったいない」



出たよ、「~してあげた」。
この口癖、もう何回聞いただろう。

本当、恩着せがましいというか……人の話全然聞かないよね。

『油っこい物を食べるとお腹を壊すから、食べたい物は自分で選ぶ、作るから、わざわざ買ってこなくていい』って、ずっと前から言ってるのに。


白ご飯を電子レンジで解凍し、生卵を乗せて卵かけご飯を作る。



「それで、どこほっつき歩いてたの?」



醤油をかけたご飯と卵を混ぜる箸が止まる。

はぁ……またか。



「……関係ないでしょ」

「あら、お母さんに言えないこと?それもそっか。男の子と一緒にいたもんね」

「えっ……?」



どうやら、車で買い物から帰っている時に、ちょうど私達が日陰で休んでいたところを目撃したらしい。

最悪……よりによって景斗くんといるところを見られてたなんて。

でも、寄りかかってしまったところを見られてないだけマシだ。



「受験生が男の子とデートだなんて、随分余裕があるのね」

「デートじゃなくて、体調が悪かったからちょっと休んでただけなんだけど」



あざ笑いながら冷たく言い放つ母に真顔で反論し、卵かけご飯を頬張る。
< 119 / 239 >

この作品をシェア

pagetop