お日さまみたいな温かい君に包まれて
なんでいつも偉そうなの。なんでいつも上から目線なの。

子どもは親の言いなりになっていればいいって言うの……?



『いい年なんだから、夢ばっかり見ないで現実見なさい』

『本当、親に全然感謝しないんだから』


「……うるさい……っ‼」



ゴンッと鈍い音が部屋中に響き渡ったと共に、壁に接している右手に強い痛みが走った。


……またやってしまった。
気をつけるって、もう作らないって決めたのに。

でも、もう既に作ってしまっている。


カーディガンを脱ぎ、全身鏡の前で一回り細くなった腕に視線を落とす。

右肘に1つ。左腕の内側に2つ。
不気味な赤黒い模様が浮かび上がっている。


「嘘つき優等生」って言われて言い返そうとしたけれど、あながち間違いではなかった。

母の言葉通り、私は景斗くんに嘘をついているから。


保健室で寝ていた時に話したことは半分嘘で、雨の日の勉強会で話したことは全部嘘。

GW中に踊っていたのは本当だけど、ぶつけたのは……。



「っ……」



胃がキリキリと痛み始め、その場にうずくまる。


……負けるな自分。卒業まであとちょっとなんだから。頑張って耐えろ。

あんなやつらのために、絶対泣くもんか。
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