友達以上恋人未満~これを愛というならside story~
厨房に、鈴木が駆け込んで来て。

倉本さんが!と。

蕁麻疹………

2年前にも出た時は、海老の殻むきをしていた調理台に触れただけで、痒そうに、苦しそうで………

初めて見た、アナフィラキシーショックの症状にとまどうだけだった。

対処に慣れた陽介と南が、梓の介抱をしているのをただ、呆然と見ていることしか出来なかった。


事務所で苦しそうに息をする梓を見て、俺がいるからな。

大丈夫だからな、気持ちを込めて背中を擦ると。

苦しい、と。

水を飲みたい、と掠れた弱々しい声。


陽介が、持っていたペットボトルの水を、貰えるか、と頼んで。

梓の身体を起こして支えると、気を利かせて水を陽介から受け取った、南が開けてくれた。

水を口に含んで、梓に飲ませていた。

周りの眼なんて気にしている余裕なんてなかったんだ。

苦しそうな梓を目の当たりにしたら、焦りと不安が襲いかかって。

居なくならないでくれ。

俺の前から。

どんな関係でもいいから。

救急車の中でもずっと、そう願いながら手を離せなかった。


ーーーーー。

大事には至らず、救命センターから出てきた梓にほっと胸を撫でおろして、

二人きりになった病室で、不安だった気持ちをぶつけていた。

心配かけんなよ。

もう二度と御免だからな。


ずっと側にいてほしい、と言っていて。

梓は涙を流した。

もしかして………梓もか?

それなら、きちんと俺から言わねぇとな。


梓……俺……

言いかけたとき、病室のドアがノックされた。

タイミング悪すぎだろ。

鈴木!!
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