悪役令嬢リーゼロッテ・ベルヘウムは死亡しました
「色々な種類があるのね」
「ええ。今の季節森に入ると色々と採れるから。楽しくなっちゃって。たくさん作ったから今度ザーシャに持って行こうかなって。あ、ザーシャっていうのは人間の村で話した女性なんだけどね」

「僕も一緒に行く!」
「わたしも」
 間髪入れずに二人が叫んだ。

「はいはい。レイアがいいって言ったらね」
「お母様ぁ」
 ファーナはレイアに懇願した。

「そうねえ。ちゃんとリジーの言うことを聞くのよ?」
「分かっているって」
「分かっているもん」

「返事だけは元気いっぱいなのだけれど」

 レイアはひょいと肩をすくめた。
 その気持ちが分かるのでわたしも頷いた。

 ジュースを飲んだ双子は大人たちの会話が退屈になったのか竜の姿になってドルムントをお供に空へと旅立って行った。わたしは誘われたけど丁重にお断りをした。

 ファーナもフェイルも事あるごとにわたしを背中に乗せたがるけれど、わたしはまだ最初のあれを忘れていない。怖かったあの思いを。そういえば、あの絶叫マシーン騒動でわたし初めてレイルと会ったんだっけ。

 彼ともすっかりなじんだなぁ。
 今度来たらかき氷ご馳走しよう。って、氷を出すのはレイルか。

「それにしても、人間の村に子供たちとリジーで行かせるなんて……その、大丈夫なの?」
 あまり人と関わってこなかったルーンは懸念を示す。

「そのまえにも、あの子たち勝手に人間の国に飛んでいってリジーを拾って帰ってきたのよ。引率してくれる人間がいてくれるんだからありがたい話だわ」
 子供の悪行を聞かされたルーンはどう答えていいのか分からずといった顔をした。

「あなた……拾われたの……」
「ええまあ……」

 拾われたというか、攫われたというか。どっちが正しいんだろうね。

「けれども……最近わたくしの住まいの近くで人間の気配を感じることがあるのよ。すこし、その……心配で」

 ルーンは人間のわたしの前ということも気遣って、若干言いにくそうに言葉をすぼませた。

「あら、まあ」
「ルーンは不可侵山脈のもっと内側に住んでいるのでしょう?」

 わたしは不思議に思って口を挟む。
 レイアより人間と距離を置いていそうなルーンの住まいなんだから、人間がおいそれとたどり着けるようなところではないと思うんだけど。

「最近引っ越したのよ。わたくし今は大分人間との境界線寄りに住んでいるの」
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