悪役令嬢リーゼロッテ・ベルヘウムは死亡しました
「えー、女の子は? わたしはロマンじゃないの?」
 ファーナがわたしも混ぜて、とぴょんぴょん跳ねる。

「落ちたら怪我しちゃうでしょう」
「しないよ。わたし頑丈だもん」
 知っていますとも。泣く子も黙る黄金竜だもんね。

「正体ばれたらもうここには来られなくなるわよ」
 本日二度目の忠告を口にした。

「うっ……」

 二人は同時に動きを止めた。

「木に登っていて、落ちそうになって万が一竜の姿に戻ったらどうするの? あなたたちまだそこまで魔法が上手じゃないんだから。うっかりばれたらもう二度とフリュゲン村には来られなくなるわよ」

 自分たちの魔法が未熟だということは本人たちが一番に理解をしている。二人はぶんぶんと首を横に振った。

「やだ」
「ここに来られなくなるのイヤ」
「じゃあ無茶はしないの」

 わたしはその場に膝をついて二人と目を合わせた。

「はあい」

 しょんぼりしちゃったけれど、仕方ない。はしゃぎすぎてうっかり尻尾と羽が飛び出したら大変だし。

「おまえら、あぶないぞぉー」

 木の上から男の人の声がした。
 わたしたちは頭上を振り仰いだ。高いところに男性がいる。

「今からこの木の実を落とすからちょっと離れていな」

 わたしたちは素直に従うことにした。男の人の握りこぶしくらいの甘樹の実の外側は固いから、落ちてきた実が頭にぶつかったら、かなり痛いと思いう。

 わたしたちが十分に離れて少し経った後、確かにそのあたりに実がいくつか落ちてきた。
 地面に当たっても割れることなく、ぽす、ぽすっと跳ねる音がする。

「もういいぞ~。そいつをかごに入れて運んでくれ~」
「はあい」
 双子が嬉しそうに飛び出した。実を拾うのでも十分に楽しいらしい。

「いいなあ。俺もやりたかった」
「レイルも案外やんちゃよね」

 わたしは地面に落ちた甘樹の実を一つ拾った。
 見た目は茶色に緑を混ぜたような色で触ると固い。指の腹で押してみてもびくりともしない。

「俺のは元気がいいっていうんだ。やんちゃだったのは子供の頃だな。周りはかなり手を焼いていたらしい」

「それ、自分でいうんだ」
「まあ、取り繕ったところで事実だし。昔はしょっちゅう怪我もしていたし」
「心配かけたって自覚があるのなら、もっと大人しくしていなさいよ」

「今は大分ましになったと思うけど。俺的は男の子はちょっとくらいやんちゃなほうがいいんだ」
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