悪役令嬢リーゼロッテ・ベルヘウムは死亡しました
「ふうん」
 前世も今世も女に生まれたわたしはそういうものなのか、と思った。

「リジーは?」
「え?」

「きみはどんな子供だった?」
「……ふ、普通よ」
 うっかりしゃべると身元がバレる気がしてわたしはそれ以上答えられない。

「ねー、一杯拾った」
「わたしも」

 落ちた実を拾い終わったらしいフェイルとファーナが嬉しそうに駆け寄ってきて、籠の中身を見ろとせっつく。

 よかった。話がとぎれた。わたしは双子の持つ籠を覗き込む。

「たくさん拾えたわね」
「楽しかった」

 えらいえらいと、交互に双子の頭を撫でると、二人はまんざらでもなさそうに顔を緩めた。
 がさりと音がしたと思ったらザーシャが「どうだい、収穫の手伝いは?」と話しかけてきた。

「楽しいよ~」
「本当は木登りしたかったけど」
「あはは。二人の年だと木登りはまだちょっと早いかな」
「そんなことないよ。僕もう三十……ぐもも」

 フェイルが不穏なことを言い出したのでわたしは咄嗟に彼の口を塞いだ。

「三十……? なにがだい?」
「あはは。お父さんがこう見えても三十だから木登りできるんだぞって言おうとしたのよねー」
 わたしは咄嗟に誤魔化した。

「三十……? あんたがかい?」

 ザーシャがレイルにずいと近寄って、その顔を凝視する。
 見た目年齢わたしよりちょっと上、なレイルにこの誤魔化しは大雑把すぎたかな。

「見えないってよく言われるけどな。……俺は若作りなんだ」
 ナイス、レイル。
「うちの旦那にも秘訣を教えてもらいたいよ」

「いつまでも子供の心を忘れないことが秘訣だ」
「あはは。なるほどねぇ~」

 収穫を終えたわたしたちは世間話をしながらフリュゲン村へと戻った。
 今日は収穫作業の実で砂糖づくりは後日ということで、三日後にまたおいでと言われた。

 わたしはせっかく来たのだからギーゼン商会に寄っていくことにした。
 ちなみに双子はレイルが見てくれている。一人でギーゼン商会に行くと言ったらなぜだか彼は渋い顔をしたけれど。

 一応今日は最近採ってきた薬草を持ってきた。
 相変わらず埃っぽい店の奥からギーゼンが出てきた。

「ああ、このあいだのお嬢ちゃんか」
「このあいだわたしが売った薬草はいい値段ついたかしら?」

「まあ、そうだな」
「じゃあまた買い取ってくれる? 一応持ってきたんだけど」
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