悪役令嬢リーゼロッテ・ベルヘウムは死亡しました
「でも、せっかく褒めてくれたのにゼートランドには……ううん。王宮では働けない。身元の分からない人間を置いてくれるほど王宮って人にやさしくはないわよ」
「俺が身元保証人になる」
「あなた、下手すると自分の立場が危うくなるわよ」
だってわたしはシュタインハルツで婚約破棄されて幽閉エンドな悪役令嬢だし。そもそもが死んだことになっているし。他国の王宮でうっかり就職しちゃってもしも万が一シュタインハルツの人間が外交とかでやってきて鉢合わせしちゃったら。
……ものすごく面倒な未来しか想像できない。
「俺の立場はそのくらいじゃ揺らがないよ」
レイルはなんてことないように笑う。
その絶対的な自信。わたしより少し年上なだけなのに、こうも揺るがないのはきっと彼の出自が高いからなんだろうな。育ちがいいのは仕草の端々から見てとれるもん。
だからこそ、わたしは彼のそばにはいられない。
「でも、わたしは目立ちたくないの。正直ゼートランドで暮らせることは魅力的。でもね、それってもっと普通の生活で十分なの。例えばどこかの町の食堂で給仕をするとか、お菓子作り職人でもいいわね。あ、砂糖って高いんだっけ。じゃあここでの経験を生かして家庭教師とか。普通に働いて暮らしていければ十分」
「普通って言うけど、絶対リジー目立つと思う」
「どうしてよ」
「だって、きれいだし」
さらりと言われてわたしは固まった。
すぐに「そんなことないわよ!」って言えばよかったんだけど、ゲームの中のリーゼロッテが美人なのは登場人物紹介見ても分かることで。
え、うぬぼれじゃなくて客観的事実。ただし、きつい顔立ちの美人だけど。
「またあなたそんなこと言って。わたし、今までお高くとまっているとか、偉そうとか、近寄りがたいとかしか言われたことないんですけど」
「それはそいつらの見る目が無いんじゃないか」
「レイルは口が上手いわね」
「そこまででもないけど……ってそういう話じゃない。俺が言いたいのは、リジーが不安に思っていることも分かっている。けど、そういう面倒な話からも俺なら守ってやれるし、そもそもリジーに非が無いだろう? 婚約破棄されたのだって」
「あなた……わたしの身元……知っていたの」
わたしの顔から表情が消えた。
「俺が身元保証人になる」
「あなた、下手すると自分の立場が危うくなるわよ」
だってわたしはシュタインハルツで婚約破棄されて幽閉エンドな悪役令嬢だし。そもそもが死んだことになっているし。他国の王宮でうっかり就職しちゃってもしも万が一シュタインハルツの人間が外交とかでやってきて鉢合わせしちゃったら。
……ものすごく面倒な未来しか想像できない。
「俺の立場はそのくらいじゃ揺らがないよ」
レイルはなんてことないように笑う。
その絶対的な自信。わたしより少し年上なだけなのに、こうも揺るがないのはきっと彼の出自が高いからなんだろうな。育ちがいいのは仕草の端々から見てとれるもん。
だからこそ、わたしは彼のそばにはいられない。
「でも、わたしは目立ちたくないの。正直ゼートランドで暮らせることは魅力的。でもね、それってもっと普通の生活で十分なの。例えばどこかの町の食堂で給仕をするとか、お菓子作り職人でもいいわね。あ、砂糖って高いんだっけ。じゃあここでの経験を生かして家庭教師とか。普通に働いて暮らしていければ十分」
「普通って言うけど、絶対リジー目立つと思う」
「どうしてよ」
「だって、きれいだし」
さらりと言われてわたしは固まった。
すぐに「そんなことないわよ!」って言えばよかったんだけど、ゲームの中のリーゼロッテが美人なのは登場人物紹介見ても分かることで。
え、うぬぼれじゃなくて客観的事実。ただし、きつい顔立ちの美人だけど。
「またあなたそんなこと言って。わたし、今までお高くとまっているとか、偉そうとか、近寄りがたいとかしか言われたことないんですけど」
「それはそいつらの見る目が無いんじゃないか」
「レイルは口が上手いわね」
「そこまででもないけど……ってそういう話じゃない。俺が言いたいのは、リジーが不安に思っていることも分かっている。けど、そういう面倒な話からも俺なら守ってやれるし、そもそもリジーに非が無いだろう? 婚約破棄されたのだって」
「あなた……わたしの身元……知っていたの」
わたしの顔から表情が消えた。