悪役令嬢リーゼロッテ・ベルヘウムは死亡しました
 わたしはザーシャが持ってきたベーコンやら塩漬けの肉、野菜を薄く切っていく。あとはチーズも。

 パン種を薄く伸ばしていって、その上にさっき切った具材を乗せていく。
 何を作ってるかって、もうお分かり。ピザもどきです。ピザといえばトマトソースだけど、さすがにそれはなかった。

 畑にトマトは生っているんだけどね。(乙女ゲームな世界だからトマトはあるよ☆)

 ベーコンとチーズがあれば大体のものはおいしくなるはずだし、ピザの元になったトルコ料理を前世で食べたことあるけど、トマト無くても十分に美味しかった。

 具材の上からハーブをぱらぱらと振りかけて、窯の中へ。
 十分に熱せられた窯の中でピザもどきはぷあっと膨らんでいく。

 うんうん、いい感じ。
 頃合いを見計らって取り出してみる。チーズが溶けて、見た目から食欲をそそられる。

「へえ、これはおいしそうだねぇ」
 出来上がったピザもどきを囲んでの感想。

「じゃあ味見します」

 等分に切り分けてあつあつのうちに召し上がれ!
 それぞれ口の中に入れて「あつ」「ん、でも美味しい!」「塩気がいいねぇ」などの感想が聞こえてきた。どの声も弾んでいるから喜んでもらえたみたい。

「美味しいよリジー! すごいねえ。こんな料理初めてだよ」
「喜んでくれてよかった」

 今度トマトソース作ろうかな。パンの作り方をここで習って、トマトソースを作って、チーズをかけて……。うんいける。絶対に美味しいから、それ。

 わたしも一口。

「美味しい~」
 わたしもふにゃっと頬をとろけさせる。

「うん。リジーやっと元気になったね」
「え?」
 わたしは単純に驚いた。普段通りにしていたはずなのに。

「ちょっと覇気がなかっただろ、今日は。旦那と喧嘩でもした?」
 ザーシャの言う旦那はレイルのことで。
「喧嘩というか……うー」

 わたしは呻いた。

 別に喧嘩はしていない。あのあと、気まずくて碌に顔も見れなかったし話もできなかったけど。そのままお別れしただけ。帰りの挨拶の時もそっぽ向いていたっけ。

 ちょっと、……かなり大人げなかった。

「なあに、どうせ旦那の方がしょうもないことを言ってきたんだろう?」
「いや別に。喧嘩はしていないし」

「なあに、どうしたの?」
 わたしが言いよどんでいると別の女性が話しかけてくる。
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