悪役令嬢リーゼロッテ・ベルヘウムは死亡しました
「あ、ごめん。つい変な言葉使っちゃった。ええと、現実……実生活が楽しくて仕方ないって状況のことかな。フローレンスの場合、念願かなって王太子と婚約できたわけだし」

「なるほどですぅ。でもでもぉ、そのヴァイオレンツという男はリジー様を捨てたんですよね。わたし、納得できません! こんなにも素敵なリジー様を捨てるとか!」

「あら、でもそのおかげでわたくしたちはリジーに出会えることができたのよ?」
「それはそうですね。じゃあヴァイオレンツにお礼を言った方がよいのですぅ」

 ティティが明るい声を出す。
 わたしはとりあえず、苦笑いを浮かべた。

 わたしの婚約破棄は避けようのないシナリオのようなものだったからわたし自身悲しいとかはホントにない。けれど、婚約破棄されたことに対してティティが怒ってくれて、でもそれがあってわたしに出会えてうれしいと思ってくれていることが、こそばゆい。

 今までずっと誰かにそんな風に言われてこなかった悪役令嬢人生だったし。ベルヘウム公爵家の実の両親もよそよそしい人たちだったし。

「ちなみにリジー様はもう一人の男、アレックスとかいう輩とは親しかったんですかぁ?」
「魔法学園の教師だったから、授業を受けたことがあるくらいで、個人的に親しいってことはなかったわね」

 生まれ変わってからはとくにゲームの攻略対象とはわたしからあえて近づこうとはしなかったし。わたしの彼に対する知識はあくまで前世でプレイしていたゲームの記憶のみ。そういえばあの教師は何の研究をしているんだっけ。

 うーん……。わたしはゲームをプレイしていた頃のことを必死に思い出そうとした。

 たしか……魔法生物学とかだっけ? ほかにも薬草の授業とか、実技の授業とかも受け持っていたし。あれ、アレックス先生ってば器用貧乏?

 黄金竜の空を飛ぶスピードは相当なもので、たぶん時間にして一時間くらいかな。正確な時間は分からないけれど、そこまで退屈することもないくらいの時間間隔で王都へとたどりついた。

 レイアは王都の上空でいくつか魔法を使い、フローレンス達の足取りを追った。

 ティティもちかくの精霊に協力を仰いで、竜と精霊はそれぞれの特性を生かして犯人の居所を突き止めた。刑事ドラマもびっくりなくらいのスピードで、やっぱり魔法すごいって思ってしまった。
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