悪役令嬢リーゼロッテ・ベルヘウムは死亡しました
 フローレンス達が逃げ込んだのはやはりというか、シュリーゼム魔法学園で。
 まあ、魔法がらみなんだから学園内が一番安心だよね。

 というわけでわたしたちはシュリーゼム魔法学園へ向かうことにした。

◇◆◇

 魔法学園の上空に突如として現れた黄金竜。魔法使いたちは何の前触れもなく姿を見せた竜をただただ見上げるだけで……、とかいうどこかのB級映画並みの展開になる、なんていうこともなく。

 魔法学園側も戸惑ったが、こちらも戸惑った。
 なんていうか、主にわたしが。

 今日は朝から色々とあった。そもそもレイアと優雅に空のお散歩をしていて、なぜだかレイルとの関係性について相談? というか話を聞いてもらっていてからの、ルーンの登場と卵窃盗事件の発覚。しかもその犯人がゲームのヒロイン、フローレンスとか。彼女たち犯人を追って捨てたはずの故郷、シュタインハルツまでレイアと一緒に飛んできて、そろそろお日様も傾き始めた時刻。

 そんな時間にわたしは、会いたくもない男と対峙しているわけで。
 まあ、なんていうか、王太子ヴァイオレンツとばったりシュリーゼム魔法学園で出くわしちゃったというか、ちょうど彼の訪問時にわたしたちがお邪魔しちゃったというか。

 レイアの背中にずっと乗っていると先にも進めなさそうだったから、覚悟決めて降りたんだよね。

「そなた……リーゼロッテ……。どうして……死んだはずでは」

 まあ普通の反応だよね。

 魔法学園の敷地内に現れた黄金竜を前に、学園関係者らはそれなりに動揺した。一応結界は張ってあるものの、そこまで大仰なものではなく、レイアがいればあっさりと破ってしまえる程度のもの。もとより、黄金竜の襲来を想定して張られた結界ではない、と思う。

 ちなみにわたしも動揺した。
 なんか一人を取り囲むように人の輪ができているなあ、とか思っていたらヴァイオレンツだったんだもん。

「ええと……それは、まあいろいろとあって」

 わたしはヴァイオレンツから若干視線を逸らせて口ごもる。
 なんて答えたらいいのかな。死んだふりして国を脱出しようとしていたところを黄金竜の双子に拾われました、とか言えるか。

「たしかそなたは埋葬途中に、竜か何かに襲われたはず」

 そういえばフェイルとファーナはあのときうっかり口から炎を吐いちゃったとか言っていたっけ。
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