悪役令嬢リーゼロッテ・ベルヘウムは死亡しました
 と、ここでレイアが魔法で竜から人間の姿へと変化した。
 ヴァイオレンツと、彼の従者や魔法学園の関係者らが一斉に驚いた表情になる。

 黄金竜が人間に変身するシーンなんてそうそう見れるものじゃないから、その反応はわかる。わたしはもはや見慣れたけど。

「この娘は黒竜に襲われたところをわたくしの身内が偶然に助け、連れ帰ったの。どうやらその前から毒に侵されていたようで、わたくしが看病した後こうして回復をしたの」

 うわ、レイア話盛りすぎ。というかこの国に黒竜出たらそれはそれでいろんな人が発狂しちゃうよ。ほら、現に目の前のヴァイオレンツ含むお付きの人たちも目を見張ったし。

 レイアは「大丈夫。人間たちには気づかれることなくきちんと対処したわ。だから、今でもこの国は平和でしょう」と続けた。

 たまに思うけど、レイアも結構すてきな性格していると思う。
 レイアが大真面目に話すから、とりあえずはそれが真実としてヴァイオレンツたちの頭の中に染み込んだみたい。

「いま、この娘はわたくしが保護しているわ」
 レイアはわたしの肩に手を置いた。
「リーゼロッテを送り届けに来た、というわけではないのだな」
「ええ、そうね。彼女は完全にわたくしの付添ね」
「ていうか、ヴァイオレンツ様はどうしてここに?」

 わたしは気になっていたことを尋ねた。

「フローラに会いに。魔法の研究に熱心なことはよいことだが、さすがに寂しい」
 ああそうですか。そんな理由だと思っていました。

「それで。貴様はなんの用があって突然この、シュリーゼム魔法学園に現れた?」
「わたくしの友人の大切な宝物が盗まれました。盗みを働いた犯人がこの学園に逃げ込んだわ。わたくしは彼らを追ってきたの。シュタインハルツの王太子に用があるわけではないわ」

 レイアはよく響く声で語った。
 レイアの語った内容に、一同に動揺が広がる。特に学園関係者たちはそれぞれ顔を見合わせて声を出し合う。にわかには信じられない様子で。

「今日、ここに二人の人間が帰ってきたでしょう。彼らを出しなさい。聞けば、この学園を卒業したフローレンス・アイリーンと学園の教師アレックス・ハルミンだというじゃない」

「まさか!」
「アレックス教師が」
「いや、確かに彼らは学術調査で辺境へと赴いていた」
「まさか竜の至宝を盗むとは」
「にわかには信じられない」
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