悪役令嬢リーゼロッテ・ベルヘウムは死亡しました
 それぞれ思ったことを口にするから収拾がつかなくなる。

「それは、確かなのか?」
 ヴァイオレンツがずいっと一歩前に出る。

「ええ、もちろん。わたくしの友人の証言に間違いはないわ。彼女は魔法を使ってその時の様子をわたくしと、ここにいるリーゼロッテにも見せてくれたわ。彼女も驚いていた。犯人が、わたくしの友人から彼女の宝物を奪った人間が、彼女と過去に関わった者たちだったから」

「黄金竜であられるこちらのご婦人が嘘を言っていると考えている不届き物はいないわよねぇ。人間よりもはるかに高い魔力を有する黄金竜の使う魔法が間違っている、なんてまさか考えていないですよねぇ」

 と、ティティがいつもよりも威圧的な声を出した。

 ふよふよと、わたしとレイアの周りを一周し、半透明の透き通った姿をしたティティは背自分が精霊であることを誇示しているのか、髪の毛がちりちりと炎のように揺らめている。

「炎の精霊……」
 だれかが呟いた。
「ともかく、フローレンスの元へ案内なさいな」

 レイアの美しい声が響き、人々がハッとしたように動き出した。
 この場にいる全員が、黄金竜から妙齢の女性へと姿を変えたレイアを目撃している。

 魔法学園の偉い人がレイアを案内し、わたしとティティも一緒に中へ入ることにする。ついでにヴァイオレンツも付いてきた。

 彼はずっと険しい顔をしている。
 自分の愛する人が盗みを働いた、なんて聞かされたら無理もないか。映像を観たわたしだってどうしてってずっと思っているのに。

 ついこの間まで学んでいた学舎に若干の懐かしさを感じつつ、わたしは建物の中を歩いていく。ティティは物珍しそうにふわりと天井付近まで浮き上がったり、窓から外を眺めたり、基本自由。

 お偉いさんは、授業の行われる教室棟ではなくて教員の研究室が集まる、研究棟へとわたしたちを案内した。

◇◆◇

 わたしたちは一つの扉の前へと案内された。

 「入るぞ」と、お偉いさんのうちの一人が声を出して返事も聞かないうちに扉を開いた。

 アレックスの研究室は整理整頓がしっかりとされていて、紙が床に散らばっていたりとか、意味不明な物が散乱していたり、とは無縁の部屋。

 彼の部屋の内部はゲームをやっているときに何度か見たことがあるから、わたしは既視感を覚えた。
 うんうん、ゲームと同じだね、って。
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