悪役令嬢リーゼロッテ・ベルヘウムは死亡しました
 まさに資源の再利用。循環型社会の見本のようなシステム。って、聞こえはいいけど魔力を強制的に奪われた人間は衰弱して死に至る。別名魔法使いの処刑場。
 というようなことをわたしは説明した。

「あら、まあ」
 夫妻は再び互いに顔を見合わせる。
「それは、酷い」

「だって、あなたはフローレンスという()に口頭で注意はしていたけれど、人がうわさをするような怪我をさせたり毒物を仕込んだり、なんてことはしていなかったじゃない」

 レィファルメアがわたしのほうを見て断言したから、逆に驚いた。

「え、だって。みんな信じてくれなかったのに。それに最初あなた達も、どっちが本当のわたしなんだろうって」

 わたしにも一応公爵令嬢で、王太子の婚約者という立場があるから、フローレンスが無邪気にヴァイオレンツに接触していたことを、やんわりと注意したことはある。

 わたしだってやりたくはなかったけれど、一応ね。立場ってものがあった。
 ああ、貴族社会面倒だな。

「あら、わたくしさっき言ったでしょう。風の精霊に聞いたって。シュリーゼム魔法学園をよく通る風たちがね、フローレンスが他の者たちから同情を引くことができるように、あなたが悪い子だと思われるように振舞っていたことも教えてくれたの」

 レィファルメアはぱちんと片目をつむった。

「しかし、全部風の精霊たちが見聞きしたもので、きみ自身の言葉では聞いていなかったから。私たちはきみ自身の人となりが知りたかったんだよ」
「実際に今こうして目の前にいるあなたとお話してみて、わたくしあなたに好感を持っているの。素直でいい子ねって」

 レィファルメアの優しい鈴のような声にわたしはちょっと目が潤んでしまう。
 いい子って言われるの、嬉しいけど恥ずかしい。

「そ、そうだったんだぁ」

 なんだかどっと力が抜けたわたしは、ほぅっと深く息を吐いた。
 学園のみんなはわたしのことを全然信じてくれなかった。けれど、目の前の黄金竜たちはきちんと真実を暴いてくれた。
 なんだか嬉しかった。
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