悪役令嬢リーゼロッテ・ベルヘウムは死亡しました
 レイアとミゼルの案内に従ってわたしたちは温泉へと向かった。

「ねえ、あなたも入るの?」

 なんとなく気になってわたしはレイルに聞いてみた。
 こっちの世界の人って温泉が好きだったりするのかな。お風呂の習慣はあるけど、レイルはわたしとちがってゼートランド人だし。

「泥風呂だろ? 面白そうだよな」

 レイルの判断基準は面白いかどうかで決まるらしい。
 好奇心旺盛な性格らしい。というか、大きな子供って気がしなくもない。

「あ。なんか失礼なこと考えているって顔している」
「べ、別に」
 わたしはぷいと顔をそらした。

「でも、ちょっと心配よね。わたしたち人間が竜の温泉に入っても大丈夫なのかなって」
「どうだろうな。ミゼルもレイアも気にしていないから大丈夫なんじゃないか?」
「レイルって楽観的よね」

「ここにいる間くらいは楽観的でありたいからね」

 ということは普段は割と重圧がレイルの肩にかかっているってことなのかな。
 わたしは彼の言葉の端々からつい彼のバックグラウンドについて考えてしまう。

「ふうん。わたしの心配性とあなたのその楽観的なところ足して二で割ったらちょうどよさそうよね」

 あまり考えずにはわたしはそんなことを言った。

「さあさ、ついたわよ。リジーはティティが案内するから、支度をしていらっしゃいな」
「リジー様ぁ。こちらですぅ」
「はあい」

 わたしはティティが飛んでいく方へ付いて行く。

「レイル様は私が案内しますよ」

 背後でドルムントの声が聞こえた。
 木が数本群生している横にティティが天幕を張ってくれた。

 用意がよろしくて感心していると、中へ入るよう促されて、ガウンを手渡された。どうやらこれに着替えて温泉を楽しむらしい。

 水着の代わりと考えたらいいのかな。
 わたしは着ている服を脱いでガウンをまとった。

「さすがにこれだと男女混浴は無理ね」

 というくらいの薄さのガウンだった。肌が結構透けているし。水着と同じくらいの厚さの生地を期待していたんだけれど、って別に一人が嫌な訳じゃないし。

 レイア推薦の泥の温泉は、大小さまざまな沼地のようなところからもくもくと湯気が立っている自然のもので、遠くの方に巨体が見えるのはきっとというか絶対に他の黄金竜の湯治客なのだろう。

「これって深くない? 底なし沼って事は無いのよね?」
「たぶん大丈夫ですぅ」
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