悪役令嬢リーゼロッテ・ベルヘウムは死亡しました
 そ、そんなこと言われるとちょっと迷ってしまう。全身パックは大変だけど、顔のパックくらいなら週に二、三回くらいならお願いしちゃおうかな、とか考えちゃう。

 有能なティティは顔のお手入れ道具一式を持ってきてくれていたのでお風呂上りの保湿も完璧。新しい服に着替えたわたしは完璧に日帰り温泉ツアーを楽しんだのだった。

◇◆◇

 双子たちがアイスクリームが食べたぁぁいと言い出したのは温泉から帰ってきて二日後のことだった。

 アイスクリーム以外にもプリンをつくってみたり、コンビニスイーツの定番真ん中にクリームたっぷりなロールケーキをつくってみたりしていたんだけれど、双子たちのお気に入りはアイスクリームのようで。

「またあのふわっふわのアイスクリームが食べたい」
「ふわふわ~。冷たいの。お口の中でしゅって溶けちゃうの」
 などと二人でアイスクリームの合唱を始めてしまった。

「仕方がないわね、二人とも」
 子供たちのアイスクリーム合唱に折れたのはレイアの方。
「今日はじゃあアイスクリームをつくりましょうか」

 まあ今日はぽかぽか陽気だし、冷たいアイスが恋しいのも分かる気もするし。
 わたしたちはそろって厨房へ移動する。

 その間も双子は「アイス♪ アイス♪ ふわふわとろとろーん」などと自作のおうたを歌っている。

 厨房にて必要器具と材料をティティと一緒に揃えながらわたしはレイアに尋ねた。

「レイアは氷の魔法使えるの?」

 魔法学校で習った黄金竜の生態を頭の中に思い浮かべながらのわたしの問いにレイアはふふんと不敵に笑って口を開いた。

「黄金竜は炎や風の魔法と相性が良いっていうだけで、水系の魔法がまったく使えないっていうことでもないのよ」

 レイアが手をかざすと魔法の力がその周りに集まってくるのを感じた。
 ボウルの中に冷気が寄り集まりちりちりと氷の粒が生まれ始める。完璧に制御された小さな吹雪がボウルの中という限定空間に生まれる。

 心なしか厨房の温度が一、二度下がったような。なんだか涼しい。

「すごい」
「ふふ。一応これでも黄金竜のはしくれだもの」

 わたしの感嘆にレイアが心なしか弾ませた声を出した。
 フェイルがアイスクリームの元になる原液を入れた小さなボウルを吹雪の生まれた大きなボウルの中へ入れる。

「僕も。僕も。このくらいできるよ」
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