悪役令嬢リーゼロッテ・ベルヘウムは死亡しました
 基本なんでも真似っ子のフェイルが口を挟む。

「フェイルにはまだ早いわよ。もっと基本から練習しないと」
 そんなフェイルを、レイアが母親の口調で窘める。

「そんなことないよ。僕だって―」
 フェイルが魔力を彼の周りに集め始める。

「フェイルリック」

 レイアが少し硬い声を出すと、フェイルはすぐに「ごめんなさい」と謝った。

「すぐに謝れる子は大好きよ。さあさ、急いでかき混ぜないとふわふわのアイスクリームに仕上がらないわよ」
「はい。お母様」

 いたずらっこのフェイルも母親のマジ怒りは回避したいらしい。
 最初の頃はわたしに、どうにも子供たちに甘くなっちゃう的なことを言っていたのに。
 本当、頼もしくなってきたよね。

「よし。わたしはパンケーキを作ろうかな。パンケーキのアイスクリーム添えって幸せな組み合わせだと思わない?」
「それ最高ね」

 レイアが弾んだ声を出す。
 彼女もわたしのつくったお菓子はどれもおいしいと絶賛して完食してくれるので作り甲斐がある。

「じゃあ、パンケーキのお手伝いはファーナにお願いしようかな」

 わたしがファーナの顔を覗き込むと、彼女は「まかせて!」と弾んだ声を出した。

 四人で仲良くお菓子作りをして、ちょうど出来上がった頃にドルムントが来客を告げに来た。
 なんでも黄金竜の婦人が尋ねてきているらしい。

「あら、まあ」

 レイアは目を少しだけ丸くして、それから竜の姿に戻って洞窟の入口へと向かった。その前に、わたし達に出来上がったスィーツは食堂に運んでおくよう言付けて。

 ティティとドルムントにも手伝ってもらってわたしたちはアイスクリームとパンケーキを食堂へと運んだ。

 焼きたてのパンケーキに冷たいアイスクリーム。キイチゴや、他のベリー類で作ったジャムに昨日摘んできた新鮮な野イチゴもある。

「あ、そういえば森の精霊さんから分けてもらったハチミツもあるんだった。取ってくるわね」
「わあい。ハチミツも甘いから好きだよ」

 正確に言うと蜂が集めたのではなくって、精霊が森に咲く花にお願いをして、花から直接いただいた蜜だ。瓶の中に入ったそれを厨房から持ってくると双子が「ハチミツ、ハチミツ」と歌いだす。

「うふふ。どの組み合わせで食べようか……迷う」

 ああ、キャラメルソースも作っておくんだった。それを言うならチョコレートも欲しいな。
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