悪役令嬢リーゼロッテ・ベルヘウムは死亡しました
「そういうわけではないけれど」
「ならいいじゃない。わたくしたち、ものを食べる必要はない黄金竜だけれど、美味しいものを食べると楽しい気分になるのよ。みんなでいただきましょう」

 にっこり笑うレイアに引きずられる形でルーンはぎこちなく頷いた。

 それからわたしとレイアでてきぱきとアイスクリームとパンケーキを取り分ける。双子たちはアイスの大きさやらトッピングのジャムやらに細かく注文をつけてレイアが「もう、少しは遠慮ってものをしなさい」などと言われる始末。

 ま、まあ子供が甘いお菓子に遠慮なんて発揮しないよね。うん、わかってる。
 そんな風にみんなでキャッキャしながら用意をして、一同揃っていただきますをした。

 ルーンは恐る恐るといった体でスプーンですくったアイスクリームを口の中へ運ぶ。
 フェイルとファーナはルーンの顔をじぃっと見つめる。

 わたしも、なんとなく気になってちらりと彼女の反応を伺ってしまう。

「ん……」
 ルーンは目をぱちぱちと幾度か瞬いた。

「冷たいのね……。それに、不思議。口の中でふわりと溶けてしまったわ」
 ルーンはまじまじとアイスクリームを眺める。

「ね、美味しいでしょう?」

「僕アイスクリーム大好きなんだ! 今日のはね、僕がかき混ぜるの手伝ったんだよ」
「わたしもね。パンケーキひっくり返すの手伝ったの。泡がぷくぷくしてきたらひっくり返すのよ」

「きつね色っていうんだって」
「アイスクリームはね、かちこちに固まったらふんわりしないから適度に混ぜるのが重要なのよ」

「お母様の氷の魔法すごいんだよ!」
「お母様魔法使うのとっても上手なの!」

 双子たちがマシンガンのように話し出すのでルーンが若干気圧されている。子供ってほんとうに元気だな、ってこういうとき思うよね。とにかく口を挟む隙がない。

「はいはい。二人とも喋ってばかりいないの。ほら、せっかくのアイスクリームが溶けちゃうわよ」

 やわらかな声でレイアが間に入ると、双子は「あ。そうだった」「溶けちゃうのいやなの」と言いながらアイスクリームとパンケーキを頬張る。

 うん。パンケーキにアイスって美味しい組合せだなあ。あとわたし、あったかいアップルパイとアイスの組み合わせも大好きなんだよね。りんごの季節になったら作ってみようかな……って、いつまでここにお世話になる気でいるのよ、わたし。
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