悪役令嬢リーゼロッテ・ベルヘウムは死亡しました
「お気持ちだけ、受け取っておきますので」
「レイアばかりリジーに頼られて……。一応私もきみの庇護者なのだからね。子供たちも世話になっているし、何かあれば私にも相談するように」
「ありがとうございます」

 しっかり目を合わせて言われるとちょっと照れてしまうし、面映ゆい。

「お父様、リジーは一人で人里に行ったんだよ。僕たちを置いて」
「わたしを置いて」

 恨み節アゲイン。結構引きずるな。

「まあ妥当な判断だね。フェイルもファーナも人間の姿に変身してもしっぽが飛び出たりするだろう?」
「最近は変身するの上手くなったよ」
「しっぽを隠しておくのも上手くなったのよ」

 双子は顔を見合わせてそろって声を出した。

「でもねえ……。面白半分に口から炎を吐いてみたり、うっかり人間を持ち帰ってみたりと、二人には色々な前科があるからね」
「いまはリジーがおうちにいるから人間を拾ったりしないよ」

 人を犬か猫のように言うなや……。

「それもそうか」
 ってそこ、納得しないで。

「きみたち二人が人里に行くのは……もっといい子にしていたら、かな」
 はははと笑ってミゼルは、おそらく逃げていった。

「いい子ってどれくらーい?」
「大人はすぐにそういうこと言うんだぁ」
「ねー、リジー」
「答えて~」

 ああ本当に大人ってずるいよね。
 わたしは、リジーリジーとまとわりついてくる双子を前に、ミゼルのあほんだらぁと心の中で吠えた。

◇◆◇

 夜、お風呂からあがって顔のお手入れをしていると、ファーナがひょこっと顔をのぞかせた。

「どうしたの? そろそろあなたも寝る時間でしょう」

 どうやらフェイルとは一緒ではないようだ。
 ティティはファーナの後ろにドルムントがいないかどうかを警戒しているらしく、ふよふよと室内を飛び回る。

「えへへ。リジーがお手入れしているの見てみたくって」

 ファーナははにかんだ。
 わたしは少しだけ首をかしげる。

「お母様が鱗のお手入れするのと、ちょっと似ているから」
「ふうん?」

 ファーナはわたしのベッドの上にちょこんと腰かけて足をぷらぷらする。
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