悪役令嬢リーゼロッテ・ベルヘウムは死亡しました
「そうねえ」

 最終的にレイアが了承したことで人里への遠足が決定した。
 二人ともその場で小躍りする始末。

「リジー、大変だろうけど、引率お願いね」
「……頑張ります」
「俺もいるから任せておいてくれ」

 レイルが胸を叩いた。
 それも心配の種なんですけどね。

「やったぁ。今から行く?」
「飛んでいくの?」

 フェイルとファーナがわたしにまとわりつく。瞳がきらっきらと輝いているのを見ると、まあ仕方ないか、という心境になってくる。

「そういえば前回はどうやって向かったんだ?」
「ドルムントに送ってもらったのよ」

 なにせ風の精霊さんだし。人一人運ぶことなんてお手軽とのことだった。

「わたくしたちが送るって言ったのに」
 こういうとき頼ってくれてもいいのに、とレイアは頬を膨らませる。

「最初は歩いていこうとしたんだけど、全員に止められたのよ」
「当たり前でしょう。歩いたらどれだけかかると思っているの」
「はい。いまはちゃんと距離感掴んでいます」

「今日は僕たちの背中に乗って行こうよ」
「わたしリジーを乗せて行ってあげるわ」

 外に出たわたしたちは移動手段を相談し始める。
 と、そのまえに。

「レイル、あなたその格好で付いてくるつもり?」

 わたしはレイルの服装チェックを入れた。彼の格好は初対面の頃から変わらず、騎士装束。身元が分かるような格好はよろしくないと思う。

「え、ああー……」
「ここ、山の中よ。どんな騎士が山奥の村に用があるっているのよ」
「人間の社会って面倒だよな」

 レイルが心底煩わしいといった風にため息を吐いた。

「そういうことなら私に任せておきなさい」

 ミゼルが手を振りかざして、小さく何かを呟いた。
 するとレイルの服装が変化した。ミゼルが魔法を使ってくれたのだ。

「おお! まさしく村人その一といった風情だ」
「いや、これは森の中の訳あり人間その一、風の格好だ」
 それどこがどう違うのかしら。

「なるほど。奥が深いな。ミゼル殿」
「そうだろう」

 いや大して変わらないよね。

 ミゼルのおかげで今のレイルは薄い色の上着に濃い色のパンツに皮の長靴(ブーツ)といった本当に何の変哲もない村人Aといったいでたちになった。

「これを羽織るといい」
 といってカーキ色の外套を彼に手渡すミゼル。
「ああ、これあるとまた雰囲気出るな」
「だろう?」
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