悪役令嬢リーゼロッテ・ベルヘウムは死亡しました
 受け取り拒否するとティティが泣き始めた。

 おーいおーいと小さい子がするように両手を目に添えて泣き始めるからわたしは面倒になって「わかったから。ちゃんとつけておく。心配してくれてありがとう」と言った。

「もらってくれて嬉しいですぅ」

 あ、嘘泣きだった。
 すぐににっこり笑顔になったティティ。結構演技派なことが判明した。

「ねー人間のたくさんいるところぉ!」

 フェイルにせっつかれてわたしたちはティティの道案内のもと森の中を歩いてフリュゲン村にたどり着いた。

 村は丸太を立てて作られた柵で覆われていて昼間の時間、入口は空いている。のどかな村で衛兵はいないみたい。

 時折家畜の鳴き声と子供たちの遊ぶ声が聞こえてくる。
 あれだけ人里に行きたいと喚いていたのに、いざ村に足を踏み入れてみればフェイルもファーナもどこか緊張した面持ちでわたしの両側をしっかりと陣取ってチュニックのすそを握りしめている。

 わたしが手を差し出すときゅっと握ってきた。あ、可愛い。

「ふうん。平和そうな村だな。ここには魔法警備隊はいないのか?」
「それは隣に村にあるらしいわ」

 レイルは忙しいくらいに辺りを見渡していく。

「ねえリジー。あの声は何?」
 いくらか慣れてきたのか双子はあたりを見渡しながら目についたものについて尋ねてくる。

「んー、にわとりかしら」
「メェェっていったのは?」
「ヤギかしらね。それとも羊?」
「あ。人間がいる」

 驚いた声を出すフェイル。

「そりゃあ人間の村に来たんだからね」
「リジー、あの人何をしているの?」

 と、今度はファーナがわたしを見上げた。

「畑仕事をしているのよ。自分たちの食べる物をああして育てているのよ」
「リジーは育てていないよ?」

「そうねえ。わたしの場合ティティ達が準備しているから」
「じゃあティティが食べる物をああやって作っているの?」

 それはわたしも知りたいところだけど。
 子供の質問は次から次へと湧いて出てくるから答えるのも大変。

「あの人は何をしているの?」
「きっと屋根の修理をしているんだわ」

「修理?」
「壊れたものを直しているのよ」
「魔法でシュッとパッとできないの?」

「人間は全員が魔法を使えるわけではないの」
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