君と私で、恋になるまで
やはり短文な瀬尾の"了解"に微笑みつつ、
じゃあ、また後で。
そう打とうとした時だった。
《がんばれ。》
「……え、」
突然届いたその言葉に小さく声を漏らした。
《…私?》
《うん。なんか凄い力《りき》んでそうだから。》
《……もしかして私のこと見えてる?》
《今、会議室の中だから見えません。》
《集中しなよ。》
《まだ部長の自慢話中。でもそろそろ切る。》
この男、わざわざ会議前のギリギリにチャットを送ってきたのかな。
《…確かに、なんでも力入れすぎると失敗するかもしれないよね。》
《うん。
でもまあ、失敗した時は死ぬほど梅水晶食べれば良いんじゃない。》
「……、」
瀬尾は、今日のことは何も知らない筈なのにな。
それにこの内容は全然、感動的なフレーズでもなんでも無いのに。
だけどそれでも、何気ない気怠い男からのチャットを見て、まぶたの奥が確かに熱くなっているのを感じた。
"___仕事をしていたら。
自分に好意的な人とだけ向き合えることは、きっと当たり前に無い。
上手くいくか分からない。
もしかしたら、全然いかないかも。
不安なんて簡単に顔を出してしまう。
だけど、それでも頑張ってみたい。"
例えば結果がダメでも「まあ良いんじゃない?」って、あの男はきっとハイボール片手に笑ってくれる。
瀬尾にチャットでありがとう、と送って、私は再びパソコンにデータを表示させる。
だけど先ほどまでのようにパソコンと険しい顔で睨めっこすることは無く、肩の力を抜いてそれと向き合った。