君と私で、恋になるまで



◻︎


「……この度は、弊社にオフィス移転のご依頼をいただき本当にありがとうございます。

改めまして、〇〇営業部の枡川と申します。どうぞよろしくお願いします。」


訪れた△社の本社ビル、4階フロアのオープンスペース。外観はそうでも無かったけれど、確かに内装は、年月を積み重ねて相当古くなっている形跡が所々で見て取れた。



デスクを挟んで向かい合うのは、やはり、あのイベントで出会った松奈さん。

「…移転に関する窓口を務めます松奈です。どうぞよろしくお願いします。」



元々強面の彼は、これはただの真顔なのかもしれないけれど、冷静な反応と相まって会話を繋いでいくのが躊躇われてしまう。



「えっと…、先立ってお送りしておりますパンフレットに、弊社で手掛けてきたオフィスのリニューアルや移転の事例がいくつか掲載されていたかと思います。

現在、オフィスで抱える課題や、今後こうしたい!と思われている点をお教えいただけますか?
今日は、イメージのようなものだけでも簡単に掴ませてください。」


笑ってノートを広げつつそう伝えるけれど、目の前の彼は難しい顔をして唇をきつく結んだままだ。


どうしよう。

そう思えば思うほど、乾いていく喉を気休め程度に唾を飲み込んで潤した時だった。




「……貴方は、来ないと思いました。」

「……え?」

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