君と私で、恋になるまで




"……枡川さん、愛されてますね。"


いつだったか。

前にも、香月さんにこの言葉を言われたことがある。


「………同期なんで。」

そうして私は、あの時もこうやって答えを誤魔化したのだ。



耳に届くのは、返答を予期していたかのような擽ったい笑い声。


「…………だけど、それだけじゃもうとっくに私の中ではあの男への気持ちは収まりそうに無いです。」


"…そうですか。やっとですね。"



驚くことなく、私の発言をゆっくりと確かめて返事をくれる香月さんの穏やかな声にホッとしてしまう。



「…だから、ちゃんと伝えようと思います。」


"央と飲みに行く時、枡川さんを彼女で紹介されたら俺多分、泣いちゃうなあ。"


香月さんの涙を見られる日は、来るのかな。


私は思わず笑って、会社への道を急いだ。


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