君と私で、恋になるまで
もう、あんな風に飲みにも行けないかな、
そう思うとまた泣きそうになってくる。
いかんいかん、今は仕事のことだ、と振り切るようにノートパソコンを開いた瞬間。
___プルルルル
社内用のスマホが着信を告げる。
その主を確認して、1度躊躇ってしまった自分に喝を入れて応答ボタンを押す。
"もしもし。×社の香月です。"
電話は、今後リーダーを降りるにしても必ず挨拶に行かなければと思っていた香月さんからだった。
◻︎
何度も来ている筈なのに、私はエントランスで香月さんを呼ぶ内線コールにさえ、手が震えているのに気づいた。
"あの"噂が、広まっているとしたら私はきっと好奇の視線を集めるだろう。
すれ違う社員の人達に必要以上にびくついて、どう見られてるか怖いと思う、そんな弱い自分が嫌になる。
だけど、降りるにしても、お世話になってきた香月さんにはきちんとお話をしなければ。
情けなく震える脚に力を入れて、エントランスで香月さんを待っていると、ピ、という軽快なドアの解錠音が聞こえた。
そうして、挨拶をしようとした私は、目の前にいた香月さんと一緒に立っている人物を視界に入れた瞬間に固まる。
「いらっしゃいませ、枡川さん。」
「_______は?」
「想像以上に、良い顔すんね。」
なんで、瀬尾がいるの。