君と私で、恋になるまで



「いや、私も勿論楽しみだったけど、貴方様ほど監督への熱意は無くて、」

「ちげーわ。」

やっぱり、目の前の男は苛立っている。そんなに怒る!?

しかしどうしたら良いのか分からず、困惑で俯く私を、枡川、と呼ぶ男。



その声が予想以上に優しくて、恐る恐る、顔を上げた。






「休日に枡川に会えると思ってなんか柄にもなく楽しみで今週仕事頑張ろうとか思って、でもいざ行けないってなっても大丈夫だからってフォローしてくれるのは勿論凄い有り難いけど、もうちょっと残念がってくれたら嬉しかったなとか自分勝手なことを思っただけ。」



一息もつかず早口でそう言った瀬尾は、すぐに振り返ってスタスタと歩き出してしまう。





______ちょっと、待ってよ。




男の先程の言葉をなんとか咀嚼しようとするけど、
はやる鼓動がそれを邪魔してうまくできない。

だけど、私だって、今、この男に言わないといけないことがある気がした。


「せ、瀬尾、!」



後ろから、脚の長い奴の歩みを追いかけるようにしてその名前を呼ぶ。


振り返った奴は、なんだか心なしか顔が赤い気がしたけどそれは気のせいかもしれない。


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