君と私で、恋になるまで
「良いから、別に。2歳上でも同期なんだし敬語とか要らない。」
「あーーよかった、そう言ってくれると思ったよ。」
その言葉を待ってた、そう笑う彼女の笑顔はずっと見ていられるかも、なんて思ってしまった自分に酷く戸惑う。
でもなんか、こいつと話してると。
「で。瀬尾、次何飲む?」
「もう呼び捨てかよ。」
「瀬尾って、良いツッコミしてくれるやん?」
ケラケラ笑って謎の関西弁と共にそうメニューを再び差し出してくる女。
____そうだ、こいつとの会話、なんか“心地いい“。
俺はメニューを見つめながら、急に悪戯心が自分の中に生まれることに気づきつつ、会話を続ける。
「…今日の社長の講話、感動したよな。」
すると枡川は途端に何度か目を瞬かせて、
「…あー、そうだね?
しょ、少子高齢化にメスを入れた鋭い話だったよね。」
「一回もそんなメス入れてなかったわよ。」
隣の島谷に瞬殺されていて、彼女は恥ずかしそうに睨む。
「だってさあ!誰か分かんないけど前でずっと寝てて、頭びっくりするくらい揺らしてるんだよ!?
あんなん笑うなっていう方が無理だから!!」
ムキになってそう言う彼女にやっぱりな、と俺はもう笑いを止められなかった。
「それこいつだから。」
「…え、俺?」
俺が指差すと、隣の古淵がそう言って目を丸くしながらポテサラを摘む。
「お前かあ!!」
顔を真っ赤にして、だけど楽しそうに笑うこの女の笑顔、やっぱり飽きないな、そう思った。
「…そんな良い話だったの?聞いとけばよかったなあ。」
「んー知らん。聞いて無かった。」
「え?この人なんなの?」
訳がわからないと言う風に思い切り首を傾げながらも、店員が運んだハイボールを渡してくれる。
「…それより、もっと面白いもの知れたから良い。」
それを受け取りつつ言うと、眉間に思い切りシワを寄せた枡川の顔には理解不能と書かれていて、やっぱり俺は笑った。