(続編)ありきたりな恋の話ですが、忘れられない恋です[出産・育児編]
もうすぐ臨月に入る美晴さんは、大きなお腹を撫で「報告待ってるわ」と帰って行った後、自分の身なりを鏡の前で確認してみた。
確かに、すっぴんに、ブローもしてない髪、おしゃれっけもない服装、その中身の下着は色気もない。こんな奥さんを抱きたいと思わない。
よーしと、私はクローゼットを開けて、久しぶりにオシャレを頑張ってみることにした。
夜、いつもの時間帯に晶斗が帰って来た。
「あれ?出かけてたの?」
「出てないよ。どうして?」
「化粧して、ワンピースなんて着てるから」
久しぶりの甘い空気で近寄ってきた晶斗が「かわいい」と言い、頬にチュッとキスをしてきた。私は、顎を少し上に向けて唇を突き出す。
すると、クスリと笑う顔が近づく気配に目を閉じたら、腕に抱いていた愛梨が暴れ、慌てて抱き直した。
一気に甘い雰囲気だったことも忘れ、愛梨に意識が向いた。
「どうしたの?愛梨もパパにキスして欲しかったのかな?」
背を向けてリビングへ戻って行った背を、寂しそうに晶斗が見つめていると気がつかないまま私は愛梨をあやしていた。
後から着いてきた晶斗は横に立ち、愛梨の手を握り顔を覗いて「愛梨、パパのところおいで」と、私に代わってあやしだす姿は微笑ましい。