泣きたい訳じゃない。
途中、スーパーマケットに寄り、夜食と明日の朝食の材料を買った。

「食事はどうしてるの?」

「うーん、オフィスの近くの日本食レストランがあるから、そこで済ませることが多いかな。」

「体重は?」

「莉奈は知ってるだろ。俺が体型をキープしてるのは。」

「莉奈は大丈夫?」

「うーん、油断したらヤバいかも。ケイトが焼いてくれるケーキが美味しくて。」

ケイトは仕事に育児に大変なはずなのに、よくクッキーやケーキを焼いては、オフィスに持って来てくれる。

「ケイトは元気?」

「うん、元気だよ。今、一緒に仕事をしてて、いつもフォローしてもらってるの。来週末は、ケイトのホームパーティーに招待されてるんだ。」

「莉奈は行くの?」

「もちろん。オフィスの皆んなも行くし、すごく楽しみにしてる。」

ちょうど私達のレジの順番になった。

拓海が支払いをしてくれて、私達は車に戻った。
運転してる拓海は、さっきから黙っている。

「どうしたの?」

「俺は莉奈にホームパーティーに行って欲しくない。そんな時間があるなら、莉奈は、俺と過ごしたくないの?」

ケイトが『拓海にとっては拷問よ。」と言っていたのを思い出す。

「ケイトは、拓海も招待したいって言ってたんだけど、拓海は忙しいよね?」

「えっ、俺も行っていいの?」

拓海の声のトーンが上がった。

「うん。ケイトは拓海にも会いたいって。」

「何とかする。今の仕事は、時間は自分で調整できるから。」

「拓海が来てくれたら、私も嬉しい。ロスの皆んなも喜ぶと思うよ。」

「あー、せめて莉奈がロスにずっと居てくれればいいのに。そしたら、週末はこうやって会うことだってできるのに。」

そうだ、こんな風に過ごせる週末は、今回を入れても後3回しかないんだ。

そう思うと、拓海が目の前にいるのに寂しくなった。
< 68 / 70 >

この作品をシェア

pagetop