泣きたい訳じゃない。
その時に部屋のチャイムが鳴る。

「誰だよ。こんな時に邪魔をする奴は。」

インターホンのモニターを見ると、綺麗な白人の女性が映っていた。

それも、ビルではなく部屋の玄関にいるみたいだ。

「誰?」

拓海はインターホンに出ようとしない。
まさか・・・。

「あー、隣人。」

「出ないの?」

そう言ってると、今度はドアをドンドンと叩き始めた。

「近所迷惑だよ。」

私の声は恐ろしく冷たい。

私のいるリビングからは玄関は死角になっているので見えない。

ロックを外してドアを開ける音が聞こえる。

「ハーイ!タクミ!」

「エイミー、今日は絶対に来るなって言っただろう!」

「だって、会いたかったんだもん!」

「駄目だ、帰ってくれ。」

何、この会話?もしかして、修羅場?
私は、拓海を信じていたのに。

でも、私には逃げ場がない。
ここを出ても行く場所がない。

彼女は拓海が遮るのを無視して、私の前に現れた。金髪のとても綺麗な人だった。
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