訳アリなの、ごめんなさい
「今の内に表の警備を確認してくるよ」
しばらくするとヴィンが立ち上がる。
たしかに、この狭い部屋に妙齢の男女3人が密集するのもなかなかの圧迫感で、イレギュラーでここにいる故になんだか申し訳なさも感じてきた頃だった。
「俺が行く」と立ち上がりかけたブラッドに
「知らない男と二人きりよりは幼馴染のお前との方がいいだろう」
そういって、パチリとウインクをして、「ごゆっくり~」と軽い調子で出て行く。
それを目で追って、しばらく沈黙が流れる。
これは、これで気まずい、、、。
「妃殿下の様子は?」
最初にぎこちなく口を開いたのはブラッドで私はすがるように彼をみる。
「少しおびえてらっしゃるわ、殿下には?」
「丁寧に扱うようエドガーが念を押していた。決して先走るなと」
大丈夫だと安心させるように、少し口元を緩めて頷いてくれる。
そこでようやくほっと息を吐いた。
「エドガー様って、、、」
よく話には聞く名前だが、私自身は殿下と一緒にいるところを見ることしか無くて、どのような方なのかいまいちつかめていない。
それを理解したのか、彼も「そうか!」と理解したように笑う。
「現首相の子息で、殿下とは幼馴染なんだ。殿下の臣下の中で、唯一の既婚者で愛妻家だから、こうした事に関しては、殿下も耳を傾けるんだ」
「そう、なの、、、」
そうであるならば、滅多なことにならないだろう。
ほっと安堵の息を吐く。
そこであら?っと引っかかる。
「唯一の既婚者?」
首を傾げる。ブラッドは違うのか。
彼を見れば、ハハっと彼は自嘲染みた笑みを見せる。
「そうなんだ!殿下に従ってなのか、成り行きなのか、まぁ殿下の臣下は独身ばかりで」
反射的に私は背筋を伸ばす。
「あなたは?婚約したって聞いたわ」
もう一度首を傾ければ、彼はとんでもない!と笑う。
「俺も独身だ。婚約はアーシャとの婚約が解消されてからは、1度もしてないぞ?」
「そうなの!?」
思いがけない情報に私は開いた口が塞がらない。
「兄達はうるさいけどな!殿下が結婚するまではっと、今までは誤魔化していたが、そうもいかなくなるな、、、しかしどこでそんなことを聞いたんだ?」
「母か、兄かどちらだったかと、、、」
曖昧に呟く私に、彼は、可笑しそうに息を吐く。
「根も葉もない噂か何かを信じたんだな」
「そのようね、、、」
呆然と呟く。
心の奥底でどこかほっとする自分がいて、都合がいいわねと呆れる。
「ずっと、聞きたかったことを聞いていいか?」
視界の中で、ブラッドが姿勢を正すのが分かり、視線を向けると、強い眼差しに捕らえられて、息を飲む。
「なぜ、俺との婚約を解消したんだ?」