訳アリなの、ごめんなさい
「もうすぐラングラード邸も完成すると、殿下から聞いたけど?」

「えぇ、月末には移れる予定です」

妃殿下の問いに私は頷き、そして肩をすくめる。


「ですが、あまり変わりはありません。どちらにしても夫も私もこちらに詰めている事が多いですから」


「あらそうなの?」
意外そうな彼女に、私は苦笑する。

「はい、ブラッドが非番の日で、特に私に御用がない夜や休日は、自宅に戻ろうかと思っております。それ以外は今まで通り、こちらに」

「あら、じゃあブラッドが貴方の部屋に通うのね?」
クスクスと悪戯な笑みで言われて、顔が熱くなる。

「両殿下のご温情にすっかり甘えてしまって、、、」

「いいのよ!ふたりともよく務めてくれているもの。それに夫のいない屋敷に貴方1人帰すなんてまだ心配だわ!」



「たしかに私もまだ少し不安なので」

もう実家を気にする必要はないと、そう思いながらもどこかでまだ恐怖心は残っているのは確かで


おそらく、まだ私には後ろめたい事があるからだろうけど、私はこの事を誰にも言うつもりはない。

ブラッドにも、いやブラッドにだからこそかもしれない。
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